こんにちは!
ヨシボウです🎵
先日、素晴らしい本と出会いました。
たまたまSNSのタイムラインに流れてきたんですよ。
タイトルは、『明日死ぬ幸福の王子』。
【新刊】世界一、いや史上最強にわかりやすいハイデガー入門書を書きました。飲茶本史上、最高傑作!多くの人に読んでもらいたいです!あした死ぬなら、あなたはどう生きますか?
— 飲茶「史上最強の哲学入門」 (@yamcha789) June 5, 2024
『あした死ぬ幸福の王子 ストーリーで学ぶハイデガー哲学』 https://t.co/wSsgXyNpqD pic.twitter.com/LhFSHF8fcq
著者は飲茶さんです。
ふだんから読書は好きで、よく読むのですが、哲学のジャンルは初体験でした。
きっと難しいだろうなぁと覚悟をして読み始めたのですが、まったくそんなこともなく、、、
サクサク読み進められてビックリ。
ストーリーになっているので、ものすごく読みやすかったです!
そして、私たち人間がついつい目を背けてしまう「死」について、深く考えさせられました。
本記事は、『明日死ぬ幸福の王子』で学べることや、気づき・感想をまとめたものです。
ぜひ、参考にしていただき、本書を読んでみてください!
それでは、はじめていきましょう🎵
- 浄土真宗本願寺派の現役僧侶
- ブログ歴3年、5サイトを運営
- 趣味はブログと読書
- 最新技術(AI、メタバース)などに関心アリ
『明日死ぬ幸福の王子』ってどんな本?ざっくり解説
本書はサブタイトルの通り、ストーリーになぞらえて「ハイデガー哲学」を学ぶことができます。
ストーリーが良くできていて、すごく引き込まれました。
ハイデガーは20世紀最高の哲学者と言われる人。
主著である「存在と時間」は非常に難解な哲学書として知られています。
本書を読み終えてから、ちらっと「存在と時間」を読んでみたのですが、目次だけで挫折してしまいましたw
その「存在と時間」を超咀嚼して噛み砕いて噛み砕いてストーリーに仕立てられたのが本書です。
哲学をあまり意識することなく、小説のような感じで読み進めることができますよ。
ストーリーに元ネタあり
タイトルからピンとくる方もおられるかも知れませんね。
ストーリーは、オスカー・ワイルド著『幸福の王子』という寓話が元ネタとなっています。
本書の主人公の名前もオスカーです。
『幸福の王子』を読んでから本書を読み進めると、さらに引き込まれるはず。
とくにガラッと急展開する後半は、見事に『幸福の王子』と融合しています。
Kindle unlimitedでも読めるので、よかったら読んでみてください。
33ページしかないので、5分で読めますよ🎵
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テーマは存在・人間・時間
本書の主なテーマは以下の3点。
- 存在とはなにか
- 人間とはなにか
- 時間とはなにか
「これは〇〇である」の「〜である」を追求していくことで、存在について深く考えさせられます。
「ある」とは何か?なんて、ふつう考えませんよねw
ふつう考えないことを考えるのが哲学なんだそう。
ところどころに図式もあるので、ホントにわかりやすい!
ぜひ、実際に読んでみてほしいです。
そして、人間の存在について考えたとき、本書の最大のテーマである、
死とはなにか?
という非常に大きな問題にぶち当たるのです。
ほとんどの方が「明日は生きていないかも知れない」ということを理解しています。
にもかかわらず、ほとんどの方が「明日も生きている」という前提で生きています。
本書は、
本当にそんな生き方でいいのかい?
と、本来的な生き方を示し、死とは何か?ということについて真正面から向き合わせてくれます。
『明日死ぬ幸福の王子』を読んだ感想
本書を読んで、いちばん考えさせられたのは「死」です。
ぼくの本職は僧侶なので、人一倍、死を目の当たりにすることが多いです。
葬儀や法事。
亡くなられた方の棺や遺影をまえにすると、「いつか自分も必ず死ぬ」という事実をを突きつけられます。
でも、心のどこかでは他人事のように捉えてしまう。。
逆に”ぼくはまだ生きている”という優越感とも言えそうな感情すら起こるのです。
本書は、そんなぼくに対して
次の瞬間、お前は死ぬ可能性があるんだぞ!?
ということを、容赦なく教えてくれました。
死について深く考えたとき、時間の大切さ、今というこの瞬間がとても尊いものに思えてきたのです。
死期を知ったら、あなたはどうする?
とつぜんに余命宣告を受けたらあなたはどうしますか?
想像したくもないですよね。
でも、あえて想像してみてください。
ぼくなら、
なぜ自分が?
まだまだやりたいこともあったのに。。
世の中はなんて不公平なんだ!
などという、どうしようもないことを泣き叫び、自分の不幸を呪うでしょうね。
本書の主人公オスカーも、余命宣告を受けて取り乱し、死を受け入れることなんて到底できませんでした。
死期を知ることは幸福
フラフラになりながら森を彷徨うオスカー。
そこで、ある老人から声をかけられます。
そこの若いの、何をしている?
うるさい!私はもうすぐ死ぬんだ!だからほっといてくれ!
オスカーは老人に怒鳴りつけました。
すると、老人はとても穏やかに笑いながら言ったのです。
自分の死期を知らされるなんて、
おまえはとてつもなく幸福なやつだな
死期を知る=幸福である
とても結びつきませんよね。
ふつうの思考なら、正反対のものです。
オスカーはこの老人からハイデガーの哲学を学び、死を見つめ、本来的な生き方に目覚めていくのです。
そして本書を読み進めたあなた自身も「死期を知る=幸福である」の意味が理解できるようになるでしょう。
永遠の命は幸せなのか?
漫画やアニメでも、悪者が永遠の命を欲しがりますよね。
ドラゴンボールのフリーザが良い例です。
改めて考えてみると、どんなに強大な力、影響力があっても死は恐ろしいものなんだ!という象徴なんだと思うのです。
仮に、永遠の命を手に入れたら、本当に幸せになれるのでしょうか?
永遠に生き続けるとするなら、今日一日、いまという時間を大切にできません。
文字通り「有難い(ありがたい)」という感情が消滅しますよね
そのように考えると、人の命は有限であるがゆえ、美しく尊い存在なのだろうと思うのです。
一部ではありますが、以上のようなことを本書から学ぶことができました。
「明日死ぬかもしれない」と考えると、”何となく生きる”なんてできなくなります。
人生は決断の連続。
そして、未来への道は1つしかありません。
- ぼーっとSNSを見て過ごすのか?
- 時間を惜しんで家族と過ごすのか?
さぁ、あなたはどう生きますか?
明日死ぬという前提で考えると、人間の本来的な生き方ができるはず。
ぜひ、本書を読んで学んでみてください。
『明日死ぬ幸福の王子』は、若者にこそおすすめしたい
できれば高校生くらいの方に読んでほしい。
なぜなら、若いうちから死生観に触れることは、とても大切なことだと思うからです。
文章のリズムが良く、哲学を意識せずとも読み進められますし、前提知識なんてゼロでOK。
ぼくには現在6歳の娘がいますが、彼女が大きくなったらぜひ読んでほしい1冊ですね
日本は間違いなく生きづらい国になっていきます。
そんななかで、しっかりと自分の生と死を受け止め、歩むべき道を見定めてほしい。
本書にはそういう考え方・生き方のヒントが随所に散りばめられています。
20年前に読んでいれば、人生変わっていたかも?と思えるくらいの気づきがありました。
死生観が変わるよく似たおすすめの本
『明日死ぬ幸福の王子』と似たような本をご紹介します。
いずれも素晴らしい本なので、ぜひ読んでみてくださいね!
『限りある時間の使い方』
80歳くらいまで生きるとして、あなたの人生はたった4,000週間だ
冒頭に出てくるこの文章。
人生の限られた時間をいかに過ごすか?
本書を読めば、時間に対する捉え方が変わり、生き方さえも変わってきます。
『後悔しない生き方』
人生において後悔はつきもの。
できれば少ない方がいいですよね。
本書では、一日を大切過ごすテクニックが30項目に分けて解説されています。
常に持ち歩いて、ペラペラと目を通したい一冊です。
まとめ:素晴らしい1冊でした!
こんなに死生観を考えさせられる本は出会ったことがありません。
それくらい、自身の生き方に影響を与える1冊です。
グッと引き込まれるストーリーに感動し、ウルっとくる場面も。
ぜひ、多くの方に読んでいただきたいです!
聞く読書「Amazonオーディブル」にも対応しているので、読むのが苦手な方はこちらがオススメ!
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運転中でも耳で読む、最強の時間の使い方
さいごに一つだけ宣伝させてください!w
本書のベースとなっている『存在と時間』の著者ハイデガーは、なんと東洋の聖書と呼ばれる『歎異抄』を読んでいるのです!
そして、浄土真宗の宗祖である親鸞聖人を絶賛しています。
彼の老後の日記には、以下のように書かれていますよ。
今日、英訳を通じてはじめて東洋の聖者親鸞の歎異鈔を読んだ。
「弥陀の五劫思惟の願を案ずるにひとえに親鸞一人がためなりけり」(歎異抄後序)とは、何と透徹した態度だろう。
もし十年前にこんな素晴らしい聖者が東洋にあったことを知ったら、自分はギリシャ・ラテン語の勉強もしなかった。
日本語を学び聖者の話を聞いて、世界中にひろめることを生きがいにしたであろう。
遅かった。
自分の側には日本の哲学者、思想家だという人が三十名近くも留学して弟子になった。
ほかのことではない。
思想・哲学の問題を随分話し合ってきたがそれらの接触を通じて、日本にこんな素晴らしい思想があろう
などという匂いすらなかった。
日本の人達は何をしているのだろう。
日本は戦いに敗けて、今後は文化国家として、世界文化に貢献するといっているが私をして云わしむれば、立派な建物も美術品もいらない。
なんにも要らないから聖人のみ教えの匂いのある人間になって欲しい。
商売、観光、政治家であっても日本人に触れたら何かそこに深い教えがあるという匂いのある人間になって欲しい。
そしたら世界中の人々が、この教えの存在を知り、フランス人はフランス語を、デンマーク人はデンマーク語を通じてそれぞれこの聖者のみ教えをわがものとするであろう。
そのとき世界の平和の問題に対する見通しがはじめてつく。
二十一世紀文明の基礎が置かれる。
(中外日報 昭和38年8月6日)
ハイデガーも絶賛した歎異抄は、本サイトのメインテーマです。
もしご興味あれば、歎異抄についての記事も読んでみてください。
さいごまでお読みいただき、ありがとうございました。
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