要約結果

なんだか理由もなく気分が落ち込んだり、将来のことを考えて急に不安になったり…。
そんなふうに、ネガティブな感情に心が支配されて、苦しくなってしまうことはありませんか?
「この嫌な気持ち、早くどこかへ消えてくれ!」
そう思えば思うほど、まるで沼にはまっていくように、どんどん心が重くなっていく…
そんな経験、ありませんか?
もしあなたが今、そんな苦しさを感じているなら、この記事はきっとあなたの力になれるはずです。
「ネガティブな感情」との上手な付き合い方について、現代心理学の知見をふんだんに盛り込み、具体的かつ実践的な方法を詳しく解説していきます。
単なる気休めではない、一生使える心のスキルを身につけていきましょう。
それでは、はじめていきましょう🎵


- 浄土真宗本願寺派の現役僧侶
- ブログ歴4年、5サイトを運営
- 趣味はブログと読書と朝活
- マインドフルネススペシャリスト資格所持
ネガティブ感情の正体とは?|嫌な気持ちは「敵」ではなく「味方」である



不安とか、怒りとか、悲しみとか…
こんな感情、なければいいのにって思っちゃいます。



でもね、ネガティブな感情は、わたしたちが生きていく上で大切な役割を持っているんですよ。
進化の過程で獲得した「生存のための警報システム」
意外に聞こえるかもしれませんが、心理学、特に進化心理学の分野では、ネガティブな感情は「心の警報装置(アラームシステム)」のようなものだと考えられています。
これらの感情は、わたしたちの祖先が厳しい自然環境を生き抜くために何百万年もの歳月をかけて発達させてきた、非常に重要な生存メカニズムなのです。(参照:進化心理学から見るネガティブ感情の役割)
例えば、サバンナで暮らしていた祖先が、茂みからガサガサという音を聞いたとします。
このとき、「何だろう?」と呑気に近づいていく個体と、「猛獣かもしれない!」と『不安』や『恐怖』を感じて瞬時に身構える個体とでは、どちらが生き延びる確率が高いでしょうか?
答えは明白ですね。
この「不安」や「恐怖」という感情が湧くからこそ、心拍数が上がり、筋肉に血液が送られ、いつでも逃げたり戦ったりできる臨戦態勢(闘争・逃走反応)に入れるのです。
一つひとつの感情に宿る、あなたを守るための「メッセージ」
同じように、一つひとつのネガティブな感情には、わたしたちを守り、より良く生きるための大切な意味(メッセージ)が隠されています。
💡 ネガティブ感情が伝えるメッセージの例
- 😥
不安:「未来に起こるかもしれない問題に、今から備えなさい」というメッセージ。
試験勉強や仕事の準備を促し、将来のリスクを低減させます。 - 😡
怒り:「あなたのテリトリーや価値観、尊厳が脅かされていますよ!それを守るために立ち上がりなさい」というメッセージ。
不正や不当な扱いに対して、自分を守るためのエネルギーになります。 - 😢
悲しみ:「あなたは、かけがえのない大切なものを失いました。その喪失の大きさを認識し、心を癒すための時間を取りなさい」というメッセージ。
無理に前を向かせるのではなく、回復に必要なプロセスへと導きます。 - 😔
罪悪感:「あなたの行動が、誰かを傷つけたり、社会的なルールを破ったりしました。関係を修復し、同じ過ちを繰り返さないために行動を改めなさい」というメッセージ。
社会的な協調性を保つために不可欠です。
脳科学が解き明かす「感情のハイジャック」
もう少し専門的な話をすると、わたしたちの脳の奥深くには「扁桃体(へんとうたい)」という、アーモンドのような形をした小さな部分があります。
ここは、好き・嫌いや、快・不快といった感情の基本的な判断を、瞬時に下す「感情の司令塔」です。
危険を察知すると、この扁桃体が即座に活発になり、理性的な思考を司る「前頭前野(ぜんとうぜんや)」の働きを一時的に抑制します。
そして、心臓をドキドキさせたり、体に力を入れたりして、すぐに戦ったり逃げたりできる「闘争・逃走反応」の準備をさせます。
これを心理学者ダニエル・ゴールマンは「感情のハイジャック」と呼びました。(参照:扁桃体と感情の仕組みについて)



だから、まず一番に覚えておいてほしいこと。
それは、ネガティブな感情が湧いてきても、自分を責めないことです。
「ああ、今、私の心は何かから私を守ろうとしてくれているんだな」と、優しく受け止めてあげてください。
この自己受容(セルフ・アクセプタンス)こそが、ネガティブな感情と上手に付き合うための、最も大切な第一歩となります。
心の専門家が教える|ネガティブ感情と上手に付き合う4つのステップ
ここからは、具体的にどうすればネガティブな感情に振り回されず、心の平静を保つことができるのか、心理療法の世界で効果が実証されている4つのステップで詳しく解説していきます。
感情を「受け入れる」|無理に消そうとしない(アクセプタンス)
ネガティブな感情が湧いてきたとき、わたしたちはつい、「こんなこと考えちゃダメだ」と、その感情を無理に抑えつけたりしがちです。
しかし、これは逆効果。心理学には「皮肉過程理論」というものがあり、「考えないようにしよう」と意識すればするほど、かえってそのことを考えてしまうのです。
答えは、「ただ、受け入れる」こと。
これは、「アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)」の中核となる考え方です。
感情と戦うのではなく、ただ「そういう感情が今、ここにあるんだな」と、サーファーが波に乗るように、感情の波を乗りこなしていくイメージですね。(参照:アクセプタンス&コミットメント・セラピーとは)
実践テクニック①:感情のラベリング
心の中で渦巻いているモヤモヤとした感情に、具体的な名前をつけてみましょう。
「ああ、今、私は『不安』を感じているな」「これは『焦り』だな」と、客観的に実況中継するだけで、感情そのものと自分との間に少し距離が生まれます。
「私=不安」ではなく、「私の中に、不安という感情がゲストとして訪れている」という感覚です。
実践テクニック②:思考の脱フュージョン
私たちは、頭に浮かんだ考えを、絶対的な事実であるかのように信じ込みがちです(フュージョン)。
この一体化を解き、思考から距離をとるのが「脱フュージョン」です。
例えば、「私はダメな人間だ」という思考が浮かんだら、「『私はダメな人間だ』という思考が、今、頭の中を通り過ぎていくなあ」と、一歩引いて観察してみるのです。
思考は単なる「頭の中の言葉」であり、真実ではないと体感できるようになります。
考え方の「癖」に気づく|認知行動療法(CBT)の知恵






その「考え方の癖」に気づき、柔軟に変えていくのが「認知行動療法(CBT)」です。
CBTは、うつ病や不安障害の治療法として効果が実証されています。(参照:認知行動療法について – 厚生労働省)
あなたの「考え方の癖」を見つけてみよう
悲観的な考え方のパターン「認知の歪み」の代表例です。
自分に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
⚪️⚫️ 白黒思考
0か100かで判断する。「すべてが台無しだ」と感じやすい。
📈 過度の一般化
一度の失敗で「いつもこうだ」と結論づける。
🧠 心の読みすぎ
根拠なく「あの人はこう思っているに違いない」と決めつける。
⚖️「べき」思考
「~すべきだ」と自分や他人を厳しいルールで縛る。
実践テクニック:思考記録(コラム)法
自分の癖に気づいたら、「コラム法」で客観的に見つめ直す練習をしましょう。
【例】上司に資料のミスを指摘された
- 感情:不安80%、恥ずかしさ70%
- 自動思考:「私はなんてダメな人間なんだ。もう信頼されない」
- 反証(反対の事実):「以前、同じ上司に褒められたことがある。他の同僚もミスはする」
- 適応的思考(新しい考え):「ミスはしたが、次に活かせばいい。一つのミスで全てがダメになるわけではない」
- その後の感情:不安40%、前向きな気持ち30%
この練習で、自動的に湧き上がる悲観的な思考に「待った」をかけ、より現実的で柔軟な考え方ができるようになります。
体から心にアプローチする|体が楽になると心も楽になる
心と体は密接につながっています(心身相関)。
体がリラックスすれば、心も穏やかになります。
考えすぎて頭がパンクしそうなときは、体に意識を向けてみましょう。
実践テクニック①:漸進的筋弛緩法(PMR)
体の各パーツの筋肉を意図的に緊張させた後、一気に緩めることで、深いリラクゼーションを得る方法です。
- 楽な姿勢になり、目を閉じます。
- 手:両手を強く握りしめ5秒間力を入れ、一気に抜く。リラックス感を20秒味わう。
- 腕:力こぶを作るように力を入れ、5秒後に脱力。
- 顔:顔の全パーツを中心に集めるように力を入れ、5秒後に緩める。
- これを「肩」「背中」「お腹」「足」と、全身で行います。
実践テクニック②:4-7-8呼吸法
不安や緊張で呼吸が浅くなっているとき、意識的に深い呼吸をすることで、リラックスを司る副交感神経を優位にします。
4秒かけて鼻から吸い、お腹を膨らませる
↓
7秒息を止める
↓
8秒かけて口からゆっくり吐ききる
視点を変える「行動」をとる|小さな成功体験を積む
最後のステップは、具体的な行動によって、ネガティブな感情の流れを断ち切る方法です。
「行動活性化療法」の考え方で、行動を先に変えることで気分を変えていきます。
実践テクニック①:5分ルールで行動のハードルを下げる
気分が落ち込んでいるときは、何をするのも億劫です。
そんなときは、「とりあえず5分だけやってみよう」と決めて行動を始めます。「5分だけ散歩する」「5分だけ部屋を片付ける」。
5分経ってやめてもOK。
しかし多くの場合、一度始めると意外と続けられるものです。
実践テクニック②:感謝日記で「ある」に目を向ける
ネガティブなときは視野が狭くなり、「ない」ものばかりに目がいきます。
意識的に「今あるもの」に目を向けましょう。
夜寝る前に、今日あった良かったことや感謝できることをノートに3つ書き出す「感謝日記」は、幸福度を上げる効果が研究で示されています。
専門家の助けを借りる勇気|セルフケアの限界と受診の目安
これまで紹介してきたセルフケアは非常に有効です。
それでも苦しさが続く場合や、日常生活に深刻な支障が出ている場合は、一人で抱え込まずに専門家の助けを借りることが大切です。
⚠️ こんなサインがあったら専門家へ相談を
- ・ネガティブな気分が2週間以上、ほとんど毎日続く。
- ・これまで楽しめていたことが、まったく楽しめなくなった。
- ・食欲や睡眠に極端な変化がある。
- ・日常の役割を果たすのが困難になっている。
- ・自分を傷つけたい、消えてしまいたいという気持ちが浮かぶ。
これらのサインは、うつ病などの可能性を示唆しています。
専門家への相談は、自分の心と向き合う、賢明で勇気ある選択です。
まとめ:ネガティブ感情は、人生を豊かにする「羅針盤」
この記事では、ネガティブな感情との上手な付き合い方について、4つのステップで詳しく解説してきました。
📝 この記事のポイント
- ✅ 感情を受け入れる:感情と戦わず、あるがままを認める。(アクセプタンス)
- ✅ 考え方の癖に気づく:思考パターンを自覚し、別の見方を探す。(認知行動療法)
- ✅ 体からアプローチする:呼吸や筋弛緩法で、心を今ここに戻す。(心身相関)
- ✅ 視点を変える行動をとる:小さな行動から始め、成功体験を積む。(行動活性化)
ネガティブな感情は、あなたの「大切なもの」を教えてくれる、人生の羅針盤です。
感情に振り回されるのではなく、その声に耳を澄ませ、上手に付き合っていく。
そのスキルを身につけることで、わたしたちはもっと強く、もっと優しく、そしてもっと自分らしく生きていくことができるのです。



あなたの心が、穏やかな光で満たされますように。
長い記事をさいごまでお読みいただき、ありがとうございました。
今日も、マインドフルな1日でありますように🎵
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